ATSUMARI講演アーカイブ

弊社が主催している「ATSUMARI」で講演いただいた皆さんのアーカイブ動画

企業様向け「ATSUMARI」

影響力の法則
- Instagram で顧客獲得&売上アップの秘訣を大公開 -

SNSディレクター T S U K A S A .氏

影響力の法則(要約)Instagram活用による顧客獲得と売上向上の秘訣

講演者のプロフィールと経歴
アパレル企業バロックジャパンリミテッド(SLY、moussyなど)での販売員キャリアからスタートし、Web移行期にSNSのビジネス活用に可能性を見出し、実績を積んできました。バニッシュスタンダードでの講師経験を経て独立し、現在は様々な企業のSNS活用を支援。

2024年のSNSマーケティング状況
•SNSの普及率は非常に高く、幅広い年齢層に浸透
•主要SNS(LINE、YouTube、X、Instagram、TikTok)の中で、Instagramが最も推奨される理由:
•機能の充実度
•利用者数の多さ
•高い利用率
•フロー型(鮮度重視)とストック型(過去コンテンツも重要)のバランス
•ソーシャルグラフ(現実の人間関係)とバーチャルグラフ(趣味関心でのつながり)の両方を持つ


Instagramの機能別活用法

新規顧客獲得に効果的な機能
•リール:アルゴリズム変更後、最も推奨される形式
•フィード投稿:発見タブからの流入や関連性の高いユーザーへの表示で新規顧客獲得が可能

フォロワー向け機能
•ストーリーズ:フォロワーとのコミュニケーションツール
•ライブ:ファンとのリアルタイム交流
•チャンネル配信:フォロワーへの一斉配信とECサイト等への誘導に有効


従業員の魅力を活用した成功事例

エリアマネージャーの例
•個人Instagramアカウントのブラッシュアップ
•約半年でフォロワーを大幅増加
•顧客からの問い合わせ、来店増加、ECサイトへの影響

時短勤務のスタッフの例
•子育てという属性を強みに変換
•共感を呼ぶ投稿でファン獲得
•売上向上に貢献

男性スタッフの例
•韓国アイドルオタクという趣味を活かす
•SNS(X、YouTube)を通じてファン獲得
•商品販売につなげる成功

企業が抱える課題
•客数増加の停滞
•自社発信の限界
•外部インフルエンサーへのコスト問題
•社内インフルエンサーの育成方法不明確
解決策:「社内ダイヤの原石」活用
ブランドを愛するスタッフの魅力を引き出し活用することが重要

支援内容(オーダーメイドアプローチ)
1.公式アカウントの整備
2.担当者の育成
3.社内体制の見直し
4.明確な目標設定
5.適切な人材選び(オーディション)
6.アカウント設定最適化
7.効果的なコンテンツ制作
8.定期的なフィードバック
9.効果検証

支援の進め方
•準備期間→キックオフ→オーディション→初期設定→スケジュール策定→基礎研修→実践→効果検証
•対面とリモートを組み合わせたアプローチ
•期間:6ヶ月〜1年程度
•コミュニケーション頻度:月1〜3回

まとめ
•顧客獲得と売上向上にはカスタマイズされた支援が重要
•内製化支援による持続的な成長を目指す
•初心者でも安心して取り組める現場経験に基づいたサポート
•少人数制コーチングによる一体感あるプロジェクト推進

単に商品を売るだけでなく、従業員の個性やライフスタイルを活かした共感マーケティングの重要性を強調。Instagramを戦略的に活用することで、ファン獲得と売上向上を同時に実現できることが具体的な事例とともに説明。

商業施設様向け「ATSUMARI」

最新SC情報セミナー

繊研新聞社編集局 アドバイザー 小川 敬

SC業界における人手不足の現状と解決策

人手不足の現状と認識のギャップ
・テナント側: 96%が人手不足を感じている
・デベロッパー側: 25%しか人手不足を感じておらず、認識にギャップがある
・地域差: 都心部では人手不足感は比較的薄い傾向がある

興味深い発見:年間休日と人手不足の関係
・年間休日を増やすことが必ずしも人手不足に直結するわけではない
事例: 福年間休日が14日と多いにもかかわらず、従業員のモチベーションが高く、売上も好調なSC

SC業界の現状
・SC数: 3,131施設
・年間売上高: 32兆円(既存ベースでは成長あり)
・傾向: 新規オープン数は減少傾向
・新動向: 百貨店のSC化が進行

人手不足解消に向けた成功事例
・エルパ(福井県)
・マーサ21(岐阜県・川島)
・ルクア大阪
・たまプラーザ
・エルム(青森県) などの事例を紹介

人手不足解消のための重要ポイント
1.    ES(従業員満足度)重視:
・SCに情熱を注ぐ「熱い男」の存在
・顧客だけでなく従業員も大切にする姿勢
2.    施設価値の向上:
・「そこで働きたい」と思える環境づくり
・採用を諦めない粘り強い姿勢
3.    成功の鍵:
・熱意ある人材の確保・育成
・顧客・従業員重視の姿勢
・働きがいのある環境づくり
・地域との連携強化
・変化への柔軟な対応

まとめ
人手不足の厳しい状況下でも、従業員を大切にし働きがいを高めること、そして地域社会との連携を深めることがSCの持続的成長には不可欠。各SCが独自の強みを活かした工夫により、人手不足という課題に対応している好事例が多く見られる。
 

VUCA時代の一生涯のファンづくり
「また来たくなる楽しさ」と「また来る必然性」

Greenery Japan 株式会社 代表取締役CEO 平林 孝章 氏

VUCA時代における生涯ファンづくり(要約)

 平林孝章氏による講演では、VUCA(Volatility:変動性、Uncertainty:不確実性、Complexity:複雑性、Ambiguity:曖昧性)時代における生涯にわたるファンづくりについて論じられました。

 

VUCA時代の特徴と対応

VUCA時代は社会や経済の変化が激しく、将来の予測が困難な時代です。この時代においては、過去の成功体験が通用しにくくなっています。AI(特にChatGPTやCopilot)を活用した情報収集・分析の重要性が述べられながらも、AIが出力する情報を鵜呑みにせず、自ら考える力を持つことの必要性が強調されました。

 顧客セグメントとライフタイムバリュー

生涯のファンづくりにおいては、従来の年齢や性別によるマーケティングだけでは不十分であり、趣味嗜好やライフスタイル、ペットの有無など、より細分化された多様な顧客セグメントを考慮する必要があります。また、顧客との関係性も、単なる購買関係だけでなく、生涯にわたる累積的な価値(ライフタイムバリュー、LTV)を重視する考え方が重要になります。

 ショッピングセンターの社会的役割

ショッピングセンターが地域社会のプラットフォームとなり、社会問題や環境問題の解決に貢献しながらファンづくりを行う可能性が示唆されました。そのためには、地域住民を巻き込んだ共助の社会を目指す必要があります。

 デジタル技術の活用とカスタマージャーニー

デジタル技術(DX)の活用は、顧客体験の向上や業務効率化に不可欠です。ただし、DXを推進する上では、人間によるインタラクティブなコミュニケーションとサポートが土台となるべきであり、テクノロジーが先行するのではなく、現場のニーズに合った導入が重要です。

有料顧客育成のためのカスタマージャーニーにおいては、潜在顧客からロイヤル顧客までの段階を捉え、それぞれの段階に合わせたアプローチが必要です。SNS(特にLINE)や交通系ICカードなどを活用したポイントシステムの進化により、購買履歴だけでなく、公共交通機関の利用や地域活動への参加など、多様な行動に対してポイントを付与することで、より広範な顧客とのエンゲージメントを深める可能性があります。

 従業員体験と人材育成

従業員体験(EX)の重要性にも触れ、従業員の満足度向上とエンゲージメントの強化が、顧客満足度(CX)向上に繋がるという考え方が提示されました。

人材育成においては、個々の能力や成長段階に合わせた多様なアプローチ(生成AIの活用、パターンランゲージ、模倣学習、丁寧な指導)が必要です。マニュアルに頼るだけでなく、基本的な共通マニュアルと哲学を通じて、従業員一人ひとりが判断し行動できるような育成が望ましいとされています。

 結論:笑顔を中心とした未来創造

最後に、ワンスの今年度のスローガンである「楽しく楽に」に触れ、ショッピングセンターの共通言語は「売上」ではなく「笑顔」であると強調されました。ワクワクする気持ちが新たなアイデアを生むとし、常に視野を広く持ち、地域に根ざした活動を通じて、持続可能な明るい未来を共に創っていくことの重要性を訴えかけ、講演は締めくくられました。 

街づくり×商業による価値創造
~顧客満足・従業員満足、そして地域満足~

株式会社商い創造研究所 代表取締役 松本大地 氏

街づくり×商業による価値創造(要約)

講演の中心テーマ
松本大地氏は内創造研究所を主宰し、「街づくりと商業の融合」という新しい方向性を提唱しています。コロナ禍を経て、ショッピングセンターの役割が「買い物の場」から「日常を過ごし、多目的に人が集まる場所」へと変化していることを重視しています。

地方都市の成功事例

盛岡バスセンター
 特徴: 老朽化したバスセンターをミクストユースで再開発
 成功ポイント:
 地元のソウルフード「福田パン」の出店
 知的障害アーティストのデザインを活用したホテル
 ニューヨーク・タイムズの「行くべき世界の旅行先」第2位に選出

和歌山駅周辺「キーノ和歌山」
 特徴: 高島屋閉店後の駅周辺活性化
 成功ポイント:
 市民図書館を核とした商業施設開発
 CCC運営による図書館利用者の大幅増加
 地元飲食店を積極誘致し、地域経済循環を促進

福山「ビンゴアルチザン」
 特徴: 新幹線駅前の複合再開発
 成功ポイント:
 ウォーカブルな広場を中心とした複合開発
 地域の技術力ある企業(鉄鋼、デニム)との連携
 スノーピークなど新たなパートナーシップ創出

大都市の事例

豊島区(池袋)
 背景: 消滅可能性都市の宣言を受けた改革
 特徴:
 女性に優しい街づくりの推進
 南池袋公園整備による賑わい創出
 駅周辺のペデストリアンデッキ整備
 ナイトカルチャー振興への注力

 

郊外型ショッピングセンターの未来

二つの方向性
 近隣型SC(NSC): 日常ニーズに対応
 大規模SC(RSC): 広域からの集客を目指す

成功の鍵
 1.運営力の強化: 施設の運営・教育研修が競争力の源泉
 2.公民連携: 図書館、公園など公共施設との連携拡大
 3.ローカルファースト: 地域性重視の店舗構成

成功事例
 リコパ鶴見: 公園のような空間で子育て世代の日常利用を促進
 バーウッド・ブリックワークスSC(メルボルン): 環境性能と社会性重視の近隣型SC
 イオンモール広島府中: スケールアップとアップスケールの両立、ライフスタイル提案強化

 

新しい商業施設の方向性

LSS(ローカル・サティスファクション・システム)
 顧客満足(CS)と従業員満足(ES)に加え、地域満足(LS)を重視
 地域社会の課題解決に貢献することで、施設に「天格」が備わる

ギャザリング戦略
 人と人のつながりの場を提供
 顧客と商業施設が一体となったファンベース構築

開かれたショッピングセンター
 塀で囲まれた閉鎖空間ではなく、地域に開かれた場の創出
 地域企業、住民、学校との連携によるエリア全体の価値向上

 

未来への展望
松本氏は、単なる商業施設開発者から「街づくりデベロッパー」への転換を提唱。自社施設だけでなく、駅や商店街など地域特性に合わせた最適開発を水平展開する新たな事業者の出現に期待を寄せています。
「街の価値と商業の質は相互に影響し合い、街づくりと商業の一体的推進が最大の価値創造につながる」という考え方が、この講演の最も重要なメッセージです。


(松本氏の新著『街づくり×商業』は2025年5月27日に発刊予定)