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Withコロナ時代におけるSCの年末年始戦略

いつもお読みいただきましてありがとうございます。
ワンスアラウンドが毎週お届けしている『現場マガジン』は、文字通り我々が運営する《現場》発のホットな情報をお届けするメールマガジンです。
今週は、『マーケットレポート』の第5弾をお届けします。
コロナ禍でのマーケットの変化と、商業施設を中心とする現場の変化をタイムリーに捉えながら、 自らも現場を持つ弊社ならではの視点で、これからの時代へのヒントをお届けしたいと思います。


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【Market Report vol.5】

皆様、こんにちは。ワンスアラウンド顧問の馬場です。
前回は、コロナを経験した今、人口動態から10年後、20年後がどうなるのか?未来は予測できても、 それに向けて自ら変わらなければ淘汰される時代に入った。そこで、今起きている事象を千載一遇と捉えて前に進みましょう。 というお話をいたしましたが、今回は、コロナ禍で迫ってきた年末年始商戦(セール&福袋)と元日営業等につきまして、 各施設がどう準備しているのかをレポートします。

コロナ禍での年末年始商戦はどう変わるのか?

コロナ禍で「新しい生活様式」が求められる中で、お客様の生活スタイルは大きく変化しています。 在宅でのテレワークが増え、鉄道利用者が減り、来春には終電の繰り上げが予定されています。 また都心から郊外そして地方への移住も進んでいます。
本来ならば、1年の中で最も売上の山が大きくなる重要な「年末年始商戦」を間もなく迎えますが、 ヨーロッパの感染状況を見ると、日本でも第3波の不安があり、クリスマスイベントの自粛であったり、 特別なディナーや皆が集まるパーティー、忘年会、新年会を控える声が上がっています。
こうしたWithコロナの新しい生活スタイルにお客様がチャレンジしている中、 社会のインフラであるSCがコロナ前と同じ営業スタイルで良いのか?を今回のレポートで考えてみたいと思います。

●年末年始営業の対応と準備状況

次の3点について、41SCにお聞きしました。
DEVの資本別では、鉄道系=12、不動産系=6、小売系=9、単館=7、アウトレット=7の内訳となっています。 (アウトレットは業態で括りました)

  1. 福袋販売及びセールについて
  2. 元日営業について
  3. 新年賀詞交換会等の開催について

ヒヤリングの結果は以下のとおりです。

1.福袋販売及びセールについて

(1)福袋はどうするのか?

福袋はお正月明けの「集客と売り上げ確保」に貢献していましたが、 ここ数年はアウトレットモールの出店が増え、福袋の位置付けもトーンダウンしており、「実施しない店舗」が増えているのが実情です。
(具体的には、アダストリアグループ、PLST、セレクト系ショップ・・など)

アンケートでは、全施設が展開実施すると回答がありましたが、コロナ禍によって、その販売方法が大きく変わりそうです。
実施にあたっての一番の課題は、「密をいかに避けて」「売上をいかに確保するか」ですが、 オンライン(EC)や事前予約で注文を受け、お客様への受渡し日を分散することで、密を避けようとしています。

施設業態別で見ると、
SCは、施設独自でのオンライン受注&店頭渡しは難しいため、各ショップが「事前予約を受けて、 12月中に店頭で受渡し」という対応が多くみられます。(41施設中28施設)

一例ですが、三井不動産の「ららぽーと」(川崎ラゾーナ含む)では、EPARK社の予約システムを利用して、 「事前予約を12月1日から開始し、商品の受渡しは、12月28日から31日までの受渡し」という対応を予定しています。
ちなみに同社では、8年前から飲食店向けに、スマホで訪店予定時間を登録し、 指定された時間に訪店すると待たずに入店出来る「順番待ち予約システム」を導入しています。

アンケート結果からは、多くのSCが福袋の受渡し(販売)時期を、年明けの初売りと山場を分散して「12月中に受渡し」で対応しようとしていますが、 アウトレットモールが出来て今もなお続いている「福袋」は、かつて正月明けの初売りの 「活気出し」「運だめし」のご祝儀としての目玉商品であった「福袋」とは、まったく意味合いが異なってしまっている感があります。

■一方、百貨店は完全にオンラインにシフトしており、既に11月から受付販売を実施しています。 内容的には、コロナ禍での「巣ごもり需要」を見込み、「おうち充実」と銘打って、 在宅時間が増えた男性向けの商品や高級食材等、新しい生活様式に対応した中身を強化しています。
また、「体験型」では、コロナ禍で高まるキャンプ需要を受けてのデイキャンプデビュー応援福袋などが企画されています。

アウトレットモールは、さすがに年内の受渡しではなく、ほとんどのショップが、 年明け営業スタートの元日に各店舗の前で整理券を渡して、密を避けながらの販売 という対応です。

(2)年末年始のセールは?

従来は、年明けに初売りがあり、その目玉が「福袋」でその後の「冬物セール」へと繋がっていました。 20年前は、この冬物セールが年をまたぐことはなく(松を超えるという言葉がありました)、 年明け前から始めるなど考えてもいませんでした(ただし、12月からシークレットセール、プレセールと称してのお客様対応は実施されていました)。
しかし、今年のコロナ禍では、館全体の統一セールを12月26日(土)からスタートする施設も多く、 数年前から増え続けている年末からの前倒しセールが更に増えそうです。

2.元日営業について

41施設のうち、「元日休業」との回答が22施設あり、予想イメージと違っていました。
「元日休業」の22施設のほとんどは、鉄道系・小売(百貨店)系DEVの商業施設です。

■元日営業をDEVの資本別でみると

  • 不動産系DEV=6施設中、5施設(三井不動産、三菱地所中心)
  • 小売(GMS)系DEV=3施設中、3施設(イオンモール、セブン&アイ)
  • 単館DEV=7施設中、5施設(大手GMSの食品が核店舗の施設)
  • アウトレットモール=7施設中、6施設

となっています。

これらの施設は全国展開しており、施設数も圧倒的に多いため、 ほとんどのSCが元日営業しているというイメージに繋がっていると思います。

しかし、このコロナ禍の10月末、SC内出店の店舗を除いて「正月三が日を休業とする」と発表した企業がありました。 発表したのは埼玉県の食品スーパー「ヤオコー」ですが、記事によると、 「社員が休日を家族とゆっくり過ごして、心と体を休めて英気を養うことが目的」と記載されています。
昨年までは元日と2日が休業でしたので、さらに1日増となります。
またSC内店舗ではなく独立店だと思いますが、イトーヨーカドーも30店舗ほどは元日休業、 サミットは三が日休業するとの話も伝わってきますので、 元日営業に関して、来年は今後に向けた転換の年になるかも知れません。

3.賀詞交換会等 取引先との新年会開催について

ほとんどのSCが「取りやめて実施しない」との回答でした。
ただ、あるSCでは、今年の春からのコロナ禍では、定期総会をはじめ殆どの会合が中止となっており、 出店者オーナーとのコミュニケーションが図れていないので、「業種別あるいはフロア別」の小単位に分けての実施に向けて検討中ということでした。
また、例年、年明け1月末に開催される日本SC協会主催の「ビジネスフェア」がオンライン方式での実施に変更となり、 DEV各社、専門店各社とも出展を見送る判断をする企業があると聞いていますが、 コロナ禍の今こそ今後のSCの在り方について、 双方のコミュニケーションが取れる場作りが求められているのではないでしょうか?

●年末年始営業アンケートから見えてきたこと

今回のアンケート結果をあらためて総括すると、

【福袋】は、本来は年明けの「初売り」、「活気づけ」、「運だめし」の目玉商品でしたが、 アウトレットモールの出店拡大に伴い、差別化が図れなくなり、縮小化されている現状にコロナ禍が加わり、 今回からは12月展開で、しかもオンラインでの展開(百貨店中心)に変わってきました。
現在、広く知られている「仙台の初売り」でさえ、例年1月2日と決まっていましたが、 来年は、2日と3日に分けての実施が仙台商工会議所の指導で決まっています。

【冬のセール】は、年明けの「初売り」が終わり、まだまだ続く寒い冬に備える時期に行われる「全館一斉」イベントでしたが、 コロナ禍での分散化の流れの中、年末からスタートするSCが増え、結果としてセール期間が長期化していく傾向になっています。

【元日営業】については、食品スーパーから新たな動きが出てきましたが、 SC業界全体としてはまだ踏み込めておらず、鉄道系や百貨店系DEVの商業施設は元日休業となっていますが、 GMS系の商業施設や大手食品スーパーを核にした商業施設は元日からの営業となっています。

また、ほとんどのSCが【賀詞交換会等の会合】について中止の方向で動いていますが、 withコロナ時代だからこそ儀礼的な集まりになりつつある賀詞交歓会ではなく、 地域マーケットの変化やDEV側の理念にもとづく新たな営業体制に対する考えを共有する場が必要なのではないでしょうか?

今回は、年末年始商戦に視点を合わせて「Withコロナで求められる変化」を見てきました。
コロナ禍における今年の年末年始商戦は、いかに密を避けながら、売上を確保するかが大命題となりますが、 日本古来のお正月の過ごし方を鑑み、できるだけ多くの商業施設が、せめて元日は休んで従業員が家族とゆっくり過ごせるよう、 福袋やセールの位置付け、元日営業を含めた年末年始営業を見直す機会にして欲しいと思います。

そして、
DEV各社が、これまで掲げてきた理念(ミッション)にもとづき、コロナ禍の様々な変化に対応しながら、 お客様満足と従業員満足を高め、社会のインフラとしての役割を担い続けることを願っています。




最後までお読みいただきありがとうございました。
オリンピックの開催を控え、ワクワク、ドキドキして迎えた2020年ですが、 コロナ禍に見舞われ、あっという間に残り1ケ月程になりました。
次回は、コロナ禍の2020年を振り返り、2021年に備えたいと思います。

ワンスアラウンド株式会社
顧問
馬場 英喜


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