ベッドタウンからリビングタウンへ〜これからの商業施設に必要なこと〜
ワンスアラウンド株式会社 |
Market Report 【vol.43】
所沢をベッドタウンからリビングタウンへ
~西武グループと住商が10年にわたり取り組んだ街づくり~
所沢駅は、西武鉄道の主要路線である新宿線と池袋線が交差しています。
1日当たりの乗降客数が10万人、改札内の乗り換え客数は約10万人と、合わせて20万人以上が利用する重要な交通結節点です。
2014年から推進された「所沢駅開発計画」の道のりは、
2020年:所沢駅リニューアルと駅直結の商業施設「グランエミオ所沢」OPEN
2021年:西武園ゆうえんち リニューアルOPEN
そして、2024年9月24日:「エミテラス所沢」OPENへとつながってきました。
2020年にOPENしたグランエミオ所沢は、駅直結であることや施設の規模から、近隣にお住まいの方や駅利用者を中心に必要なものをクイックにご購入できる利用シーンを想定しています。
対してエミテラス所沢は、お買い物だけでなく、ご家族やご友人とのお食事や映画鑑賞などゆっくりと過ごす利用シーンを想定しており、ユニクロもグランエミオ所沢からファミリー向けのエミテラス所沢の2階に移転しています。
昼間は人口が少なく、典型的なベッドタウンだった所沢駅に新しい生活交流拠点を創造することで、これまでなかった利便性とコンテンツが提供されました。
キーフレーズを「ほほえみリビングタウン~この街をわが家のように~」と掲げて、「ベッドタウン」から、暮らす・働く・学ぶ・遊ぶの4要素がそろった「リビングタウン」に転換したエミテラス所沢とはどのような施設なのでしょうか?
西武グループの街づくりと住友商事グループの知見・ノウハウを生かした、「これからの所沢」を代表する商業施設である「エミテラス所沢」の魅力をお伝えしていきます。
▼▽▼ リサーチスタート! ▼▽▼ 今回は9月24日にグランドオープンした 「エミテラス所沢」 をさんぽしてきました。
1F 【こもれびフードホール】ベトナム料理(フォーテントウキョウ)、シンガポール料理(海南鶏飯食堂)など、埼玉初出店のお店が沢山あります。22店舗1000席の巨大なフードコートです。 中でも、気になるお店は、1989年に創業、地元<エミール>の新業態<Petit Luxe EMILE>です。「焼きシュークリーム」は一度食べてみたいと思いました。 さらに、こもれびフードホールの中には靴を脱いでくつろげる「こあがり席」や、パーティールーム(予約貸し切りルーム)があり、施設内で購入したフードを持ち寄って、家族や友人と楽しく過ごせます。
2F 【ファッション・雑貨を中心としたフロア】
1Fに比べて2Fは、そこまで込み合ってはいないので、ゆっくりショッピングが楽しめます。
2・3F 【吹き抜け空間】施設内の2F・3Fの吹き抜け空間には、インタラクティブデジタルコンテンツによる新しい体験を提供する「TOKOROZAWA e-CUBE」があります。
4F 【そらくもひろば】天気がいい日は富士山も見えるそうです。 |
さいごに
今回のエミテラス所沢は、ファミリー層とアクティブシニア層のニーズを意識したリーシングで、都心に出なくても1か所で何でもそろう利便性があります。
施設の設計も円型になっており、通路奥の店頭が見えないことでどんな店舗があるのかワクワクします。このように回遊性を高めて「ついで買い」を促すことは、いい方法だと感じました。
近隣の方々が、用事がなくても散歩がてらにフラッと行ってみようと思える場所です。
交通の利便性、豊かな自然環境がある所沢独自の魅力を商業施設で表現していると感じました。
ライフスタイルの変化により、アパレルと周辺市場の垣根が薄まり洋服以外の生活全体でファッションを楽しむライフスタイルマーケットが広がっています。
オシャレな空間で、センスの良い日常雑貨に囲まれながら充実した時間を過ごしたい、というニーズが高まっていると感じます。また、そのような空間で仕事をするとより良いアイデアが浮かんできそうです。
また一方では、最新技術を活用し、リテールテイメントの質を向上させて、お客様も施設のスタッフも一体になって楽しめる時間と空間の創造を「TOKOROZAWA e-CUBE」で実現できるとさらにエミテラス所沢のロイヤリティが高まると思いました。
これからの商業施設は、<お金では買えない体験や感動>を提供できること、駅直結だからこそ<毎日行きたくなる・毎日行っても飽きない>「フリークエンシーマグネット」(高頻度な来館を動機づける店舗)こそがカギになると考えます。
最後までお読みいただき、どうもありがとうございました。
これからも現場からのリアルなレポートをお届けします。
どうぞお楽しみに!