
小さな「ひと手間」が大きな感動に繋がる ーお客様の行動の先を考えた「心配り」ー
ワンスアラウンド株式会社 取締役 佐藤 梨枝子 |
現場マガジン 【vol.209】
小さな「ひと手間」が大きな感動に繋がる
ーお客様の行動の先を考えた「心配り」ー
「気配り」「心配り」という言葉があります。
言わずもがなですが、「気配り」は気配(空気)を読んで、その先を見越して行動すること。
「心配り」は、相手の状況を想像して、相手に寄り添った行動のことと言われています。
お客様からいただく「ありがとう」には、スタッフのほんの少しの「心配り」がお客様の大きな感動に繋がることが多々見られます。
今回はその事例をご紹介したいと思います。
■決めきれなかったお客様がお戻りになられることを想定して行動したSさん。ご家族でご来店いただきました。 旦那様が会社の同僚の方と初めてフルマラソンに出るとのことで、本番用のシューズをお探しでした。 「スピードを意識せずのんびりゆったり走りたい、 マラソン自体が初めてで、なにを着て走ったら良いのかも分からない」とのニーズをお持ちでしたので、聞き取りをしながら、2つのシューズをご試着いただきました。 会話をしていく中で、お客様のワクワクも不安もたくさんお聞きし、30~40分ほど接客につかせていただきました。 自店がまだ1店舗目で他のお店も見てみたいとのことで、他ブランドのオススメシューズもお伝えし、一旦お見送りしました。 お戻りになった時のことを考え、 お客様が出場予定のマラソンのことを調べ、 当日必要な持ち物、持っていくといいもの、エイドで何を食べれるか、など、名刺にメモ書きし、お待ちしました。 閉店直前に再度ご来店いただき、メモ書きしたものをお渡しするととても喜んでくださいました。 【後日届いたお客様からのコメント】 素晴らし過ぎる接客でした。 初めてフルマラソンに参加するにあたりシューズを選びに行きましたが、シューズの種類と特性をわかりやすくアドバイスいただき、靴紐の結び方まで教えていただき有難かったです。 その場でシューズを決めずに他店舗に行き、改めて店舗に戻った際には、僕が出場するマラソン大会について調べていてくれて、大会時の注意点までご用意くださいました。 感動レベルの接客でとても気持ちが良かったです。 お陰で安心してフルマラソンに出れそうですし、その前の練習もとても楽しみになりました。 |
多くのお客様は他店と比較検討して、商品選びをします。それが「ショッピング」という時間の至福の楽しみでもあります。
そんなお客様の心情を理解して快く送り出すことで結果、再来店に繋がるケースが多く見られます。
Sさんは「他店も見てみたい」と仰ったお客様に対して
他店のお薦めシューズまでご紹介して送り出しました。
そして、お戻りになられることを想定して、接客時に伝えきれなかったことをメモしてお待ちするというお客様のための「ひと手間」を掛けました。
Sさんのこの行動は自ブランドと自分自身のプライドの表れだと思います。
■今日の売上よりも未来を大切にしたNさん。本日、50代の男性のお客様がご来店くださいました。 お目当てのシューズのご購入を検討されていたため、実際にご試着いただきながら、シューズの特徴や、その日お客様がお履きになっていた品番との違いをご説明しました。 お客様は、現在お履きのシューズが「少し大きい気がする」とおっしゃっていたため、甲部分のフィット感を高める“オーバーラップ”の紐の通し方に変更してみたところ、フィット感が大幅に向上し、とても喜んでいただけました。 お目当てのシューズの試着からは脱線しましたが、お店に足を運んでくださったお客様に良い体験をご提供できたのではないでしょうか! 退店時に「買ってもいないのに、こんなに丁寧にありがとうございました😊」とお声をいただきとても嬉しくなりました。 これをきっかけにまたご来店して頂けると嬉しいです! 【後日届いたお客様からのコメント】 お目当ての商品に対して大変丁寧に説明をしていただきました。 また他の品番のスニーカーについて質問しても知識が豊富で分かりやすかったです。 履いていた私の靴の紐の通し方にアドバイスがあり、通し直してもらったところフィット感が見違えて良くなり、とても感激しました。 今回は試着だけでしたが来店して本当に良かったです。
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お客様との会話の中で、ふと発せられたお客様のひと言を聞き逃さずに、その場で即座に靴紐を通し直したNさん。
まさか、この場でやり直してくれるとは・・・と、お客様にとってはとても嬉しいサプライズであったと思います。
後日、届いたアンケートには上記コメントとともに、
「いつもこのお店に来ていますがいつも良い雰囲気で満足しています」というお言葉も添えられていました。
「面倒くさい」は自分軸。「ひと手間」は相手軸。
常に目の前の誰かに気持ちを寄せている人は「自分軸」ではなく「相手軸」で物事を見ているため、相手の変化・行動を敏感に感じ取っています。
そのため、相手の行動に対し「ありがとう」と言う回数が多かったり、相手を気遣うことで自然と相談を受ける回数が増えていったりしています。
その結果、自然と「信頼」を得られる人になっていくのだと思います。
それに比べて「面倒」と思うことは「自分軸」でしか物事を見られないからだと、自分を戒めていきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
これからも現場から届いたお客様の「ありがとう」を
ご紹介してまいります。



