
~46歳未経験からアパレル業界へ~ 現場で見つけた「自分の役割のつくり方」
ワンスアラウンド株式会社 ビームス みなとみらい Demi-Luxe BEAMS担当 奈良 美奈子 | ![]() |
現場マガジン【vol.217】
ワンスアラウンド「現場マガジン」をご覧の皆様、
はじめまして。奈良美奈子と申します。
46歳で未経験からアパレル業界に飛び込み、現在11年目になりました。
入社後、百貨店でフレンチカジュアルブランドに9年間勤務した後、現在は、ビームス みなとみらいにてDemi-Luxe BEAMS のセクション担当として働いています。
組織の中で働いていると、「自分は何を求められ、何をすべきなのだろう」と戸惑う場面があります。
しかし、その答えは必ずしも上司や会社が与えてくれるものではありません。
周囲をよく観察し、自分の強みを活かしながらチームの中で自ら立ち位置をつくっていく。
その積み重ねが、結果として信頼や役割につながっていくのだと思います。
今回は、現場で11年間働いてきた経験から、自分の役割を見つけ、価値を発揮するために大切にしてきた4つの視点についてお話しさせていただきます。
そのテーマは「強みを活かすこと」「主体的に動くこと」「環境に合わせて役割を更新すること」、そして「若手スタッフとのコミュニケーション」です。
■強みを活かすと立ち位置が生まれるオンラインでの発信を始めた理由は、とてもシンプルでした。 ムニスタイルコンサルタントに選出していただきました。 入社当初はパート社員として、まず「教わったことを正確にこなす」ことに集中していました。 当時の店舗は3〜4名の小規模体制。毎日顔を合わせる中で、スタッフそれぞれの得意・不得意や性格が少しずつ見えてきます。そんな中で、「このチームの中で自分はどんな役割を担えるのだろう」と考えるようになりました。 転機になったのは、店長が交代したタイミングでした。新しい店長に日々感じていることを相談したところ、「まず困っていることを洗い出して、業務の棚卸しをしてみましょう」という提案をいただきました。 そこで日々の業務を一つひとつ書き出し、「誰が」「いつ」「何のために」行っているのかを整理していきました。 すると、誰も使っていない資料や、同じ内容を二重に確認している作業など、それまで当たり前だと思っていた業務の中に多くの無駄があることに気づきました。業務の流れを整理していくと、時間管理が驚くほどスムーズになり、残業時間はほとんどなくなりました。 さらに、使うかどうかわからず保管していた書類も整理したことで、本当に必要な情報が埋もれなくなり、仕事の優先順位も明確になりました。 すると、それまで「接客」と「作業」に追われていた日々に余裕が生まれ、店頭でお客様と向き合う時間が増えていきました。 そうした変化の中で、「ここのお店は本当に入りやすいですね」「あなたたち、いつまでもいてね」といったありがたいお言葉をお客様からいただく機会も増えていきました。 この経験を通して、現場の課題に気づき改善のアイデアを見つけることが、このチームでの自分の役割なのだと気づきました。そして、そのアイデアを形にする仲間がいることで、チームの状態は大きく変わっていくのだということも実感しました。 実は、このような業務改善に取り組む以前にも、小さなきっかけとなる出来事がありました。 お店の売上は好調でしたが、イベント準備のたびにスケジュール管理がうまくいかず、直前になって慌ただしくなってしまうことが課題でした。準備物の確認や役割分担が当日近くになって慌てて決まることもあり、スタッフ全員がどこか落ち着かない雰囲気になってしまうこともありました。 そこで、締切から逆算して準備を進める簡単なスケジュール表を作り、「この流れで準備してみませんか」と提案してみました。イベント当日から逆算し、誰が何を担当するかを整理したものです。すると店長から「助かります。ぜひお願いできますか」と言われ、私が主導して進めることになりました。 特別なことをしたつもりはありませんでしたが、その時初めて「自分にもこのチームの役に立てることがあるのかもしれない」と感じました。この出来事が、現場をよく見て自分にできることを探すという姿勢の原点になったように思います。 | |
■主体性が改善の視点を生む仕事を任されるようになると、次に意識したのが「自分ごととして取り組む」という姿勢でした。 指示を待つのではなく、先を見て準備し、見通しを立てて行動する。そうして仕事を見るようになると、「もっとこうすれば効率が良くなるのではないか」という視点が自然と生まれてきました。 当社には業務改善を提案する「もっともっと」という制度があります。最初の頃は月に1件提出するのも難しく、何を書けばいいのか悩むこともありました。しかし、主体的に仕事を見るようになってからは、日々の業務の中で小さな違和感や改善点に気づくようになり、自然とアイデアが浮かぶようになりました。 また、他の仲間が担当する仕事を知り、理解することで、「大変そうだからこちらの作業は私がやっておこう」と助け合う風土もできていきました。 常に基本として考えていたのは、「自分たちが気持ちよく、効率よく働くにはどうすればよいか」「お客様により喜んでいただくにはどうすればよいか」という2つの視点です。 それぞれの強みを活かしながら同じ方向に向かっていた実感は、今でも忘れられません。 ■環境が変われば役割も変わる9年が過ぎた頃、現在の大型店舗への異動が決まりました。55歳での大型店舗への異動は、正直なところ想定していませんでした。フロアは広く動きはハード、スタッフ数はそれまでの約3倍、入店するお客様の数は100倍という環境です。最初は「自分に務まるだろうか」という不安もありました。 戸惑いの中で改めて考えたのは「今、この場所で、自分は何を求められているのか」ということです。そこで意識したのは、「ブランドに興味を持っていただくために店頭でのスタイリングは手を抜かないこと」「繰り返しご来店いただけるようになる接客をすること」「大人のスタッフとしての振る舞いを示すこと」の3つでした。 今回この原稿を書くにあたり、改めてこれまでの働き方を振り返りました。その中で、「自分が思っている役割と、上司が考える私の役割は一致しているのだろうか」と気になり、上司に「私に期待していることは何ですか」と聞いてみました。返ってきた答えはこうでした。 「売上はもちろんですが、ひと言で言えば顧客力。そして人生の先輩としての経験を伝えてほしい。」 異動後に意識してきたことは、間違っていなかったのだと感じました。 ■世代を越えたコミュニケーションコロナ禍以降、社会全体もアパレル業界も大きく変化しました。特にデジタル分野については、若手スタッフに教えてもらうことばかりですが、幸いなことに彼らはどんな時でも丁寧に教えてくれ、気にかけてくれます。この環境には本当に感謝しています。 反対に、こちらができることはそう多くありません。ただ、彼らが話したい時に話を聞くこと。そして接客の所作を「教える」のではなく、日々の姿を通して見て学んでもらうことです。 20代の彼らと50代の自分とでは、生きてきた背景が全く違います。だからこそ価値観を押し付けるのではなく、一人の人として対等に接し、学び合うことが大切だと感じています。 |
■さいごに
46歳でアパレル業界に入り、気がつけば11年が経ちました。そして、年齢や経験に関係なく、現場では常に新しい課題が生まれます。
そのたびに問い続けてきたのは、「今この場所で、自分には何ができるのか」ということでした。
自分の立ち位置は、誰かが決めてくれるものではありません。現場をよく見て、自分の強みを活かしながら少しずつ形にしていくものだと思います。
もし今、「自分の役割は何だろう」と感じている方がいたら、ぜひ一度、現場を見渡してみてください。そこには、まだ気づいていないだけで、自分にしかできない役割のヒントがきっとあるはずです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
これからも現場をリードするスタッフの得意(拘り)を
ご紹介してまいります。




